経営企画室 広報チーム
株式会社シャトレーゼホールディングス
遠藤 悠太 Yuta Endo
パンやお菓子の材料卸として山梨県の食文化を70年以上にわたり支え続けている「株式会社美好商会」。創業以来、地域に根差した商いを続け、現在はベーカリー、菓子店、ホテルやレストランなど多くのプロフェッショナルから厚い信頼を得ています。
老舗企業の伝統を守りながらも、燻製ナッツ「富士桜スモークナッツ」の開発など新たな挑戦を続ける同社の「今」と「未来」に迫ります。
Q. 美好商会様の事業内容について教えてください。
A:私たちはパン屋さんや洋菓子店、ホテルやレストランといったプロのお客様へ小麦粉・砂糖・バターなどの食品原材料を卸している会社です。企業間取引が中心ですが自社開発した商品は一般のお客様にもご利用をいただいております。 拠点は甲府市に置き、山梨県全域に配送をしております。一部長野や東京にもお客様がいらっしゃいます。現在は父が3代目代表を務めており、私が次期4代目としてそのバトンを受け継ぐ予定です。
Q. 社名「美好」の由来を教えていただけますか?
A:1950年の創業時、学校給食のパン材料卸として「ミヨシ油脂」の製品を扱っていたことが由来の一つです。 また、近江商人の心得である「三方よし」の精神も込められています。お取引先様、従業員さん、そして地域から愛される商いを続けるという理念のもと、創業から70年以上この精神を守り続けています。
Q. ネットで何でも買える時代において御社のような卸問屋の役割とは何だとお考えですか?
A:今はネットで検索すれば材料は手に入りますし、メーカーから直送してもらうことも可能です。しかし、私たちのような問屋が介在する意義は「信頼」と「情報の選別」そして「在庫機能」にあると考えています。メーカーとお客様の間に入り、膨大な商品の中から「このお客様にはこれが合うのではないか」という最適な提案を行うこと。また、何かトラブルがあった際や急な発注に対しても私たちが在庫を持っていることで、即座に対応できる「バッファ機能」としての役割も重要です。
単に物を右から左へ流すだけなら誰でもできますが、そこに「安心」や「プラスアルファの提案」を乗せてお届けすることが私たちの存在意義だと自負しています。
Q. 具体的にはどのような提案をされているのでしょうか?
A:例えば、昨今の物価高騰で材料費が上がり、困っているお客様がいらっしゃれば「こちらのメーカーの類似商品ならコストを抑えられますよ」といった代替案を提示したり、付加価値を高めた新しいレシピの提案を行ったりしています。メーカーからの情報は膨大で、現場で忙しくされているパン屋さんやお菓子屋さんが全てを把握するのは困難です。私たちがその情報を噛み砕き、お客様にとって有益な形にしてお届けする。いわば、メーカーとお店をつなぐ「翻訳者」のような役割も果たしています。
Q. オリジナル商品である「富士桜スモークナッツ」について教えてください。
A:これはまさに「転禍為福(災いを転じて福となす)」の精神から生まれた商品です。かつて大口契約の終了という危機に直面した際に、私たちは下を向くのではなく「自ら新しい価値を創り出そう」と決意しました。
そこで着目したのが山梨県の県花「富士桜」です。富士山北麓に自生する富士桜ですが、山の健康を保つため間引きが行われます。その際、間引かれた富士桜の木を燻製チップとして有効活用し、ナッツの燻製を行いました。その芳醇な香りはワインやウイスキーと相性抜群で、現在では有名ホテルやレストランでご採用いただいております。本来捨てられるはずの地域資源を価値ある商品へと生まれ変わらせ、会社の新たな柱とする。この商品は、私たちが逆境を乗り越え「ピンチをチャンスに変えた挑戦の証」として誇りに思っている商品です。
Q. 今後の展望について教えてください。
大きく二つあります。一つ目は、お客様への情報発信と関係性の強化です。
昨年、創業以来初の展示会を開催し、リアルな場で商品に触れていただく機会を作りました。今後も展示会や勉強会を定期的に行い、ネットの情報だけでは伝わらない価値を届け、お客様と共に成長していきたいと考えています。
二つ目は、社員さんが輝ける環境づくりです。
良いサービス提供には、まず社員さん自身が楽しくやりがいを持って働くことが不可欠です。ITツール導入による業務効率化等を進め、社員さんが心身ともに健康で働ける環境を整え、最高のパフォーマンスでお客様に接していただく。それが経営者としての私の責務であり、ひいてはお取引先様、地域の未来にもつながると信じています。
Q:進路や「都会か地元か」で迷っている皆さんへ伝えたいことは?
私自身ができていなかったことで偉そうなことは言えませんが、過去の自分に伝えるつもりで申し上げますと、「自分がどのような人間に成長したいか、その上でどんな影響を世間に与えたいか」を考えることを勧めます。難しい場合は、まずは生まれ育った地元で活躍するご自身をイメージしてみてください。「何もないな」と思っている地元を、「誇らしい」と思える地元に成長させるため、情熱を注いでいるご自身の姿はどのように感じるでしょうか?想像した姿が素敵だなと少しでも思えた方は、一緒に山梨を盛り上げましょう。
皆さんが「足りない」「不便」と感じていることが、世の中を豊かにするヒントになります。都会でも地元でも活躍できる場は必ずありますので、是非挑戦し続けてください。
遠藤 悠太 Yuta Endo
株式会社美好商会
代表取締役社長
山梨県甲府市出身。明治大学卒業後、山梨中央銀行に入行。県内および首都圏で法人営業に従事。コロナ禍を機に「家業を絶やしてはならない」と帰郷を決意し、株式会社美好商会へ入社。銀行員時代の経験を活かし、現在は次期4代目として経営革新に取り組んでいる。
https://miyoshi-materia.co.jp/