美容の夢から家業へ ― 半導体を支える特殊クリーニング

1997年の創業以来、半導体関連企業や食品工場の作業着クリーニングを手がける株式会社プロシア。山梨県を拠点に、クリーン洗浄と一般洗浄の両方を展開し、従業員12名のうちほぼ全員が女性という特徴的な組織体制で、きめ細やかなサービスを提供しています。
「私たちは、『きめ細やかさ』を念頭に『プロシア』である事に誇りを持ち、誠心誠意努力します」――この経営理念のもと、代表取締役の清水めぐみさんは、女性ならではの「気づき」と「気配り」を強みに、お客様との信頼関係を築いてきました。
美容業界から家業へ、そして経営者へ。清水さんは祖父から受け継いだ事業を、働く女性が生き生きと活躍できる職場へと変革しながら、半導体市場の成長を見据えた事業展開に取り組んでいます。

Q:会社創業の背景を教えてください。
A: 1997年5月に祖父が創業しました。もともと祖父は鉄骨屋を立ち上げて、それを父が継いでいたのですが、祖父が時間的に余裕ができてこの会社を作ったようです。
創業当時、私は美容関係の仕事をしていましたので、この会社のことは全く気にしていませんでした。中学生の時からエステティシャンになるのが夢だったので、「ファーストビューティーハウス」という山梨県内のエステティックサロンで技術者として働いていたんです。
26歳の時、離婚して働かなきゃいけなくなった時に、祖父がここをやっていて兄も手伝っていたので、「働かせて」と入ったのがきっかけです。2012年2月に祖父が亡くなった際に、悩んだ末、後を引き継ぐことにしました。父や母からは「やりたくなければやらなくてもいいよ」と言われたのですが、大きな会社のお客様に迷惑をかけるのもなと思い、一生懸命やりたいなと思い始めました。
そのタイミングで、社名を「クリーン清水」から「プロシア」に変えました。イメージをいいものにしたいと思ったんです。「プロ・クリーニング・アソシエーション」の頭文字をとって「プロシア」。「クリーニングのプロ集団」という意味を込めました。

子育てと仕事を両立できる、柔軟な職場環境

Q:御社の事業内容と強みについて教えてください。
A:弊社はクリーン洗浄をメインとするクリーニング業です。クリーン洗浄と一般洗浄と両方できます。クリーン洗浄の方は、半導体関連のお客様などが着ている作業服をクリーニングする業態になります。一般洗浄の方は会社さんがメインで、食品関係の白い白衣を着ているような工場の作業着や、家庭では洗えないような油汚れがある工場さんの作業着を洗っています。
クリーン洗浄は特殊なクリーニングで、一般環境でのクリーニングと違い、お客様の作業環境と同じ環境でクリーニングしなければなりません。今はメインがクリーン洗浄の方になるので、半導体のお客様が多い状態です。
去年の夏あたりに男性を1人入れさせていただいたんですけど、その前までは全員女性でやってきました。女性を選んでいたわけではなく、畳んだりする細かい作業があるので、募集したときに女性の方が多かったというのもあります。
女性が多いというところで、細かいところに目が届くのが喜ばれているのかなと思います。配送に行ってもちょっと片付けてきたり、「これどうしますか?」と声をかけたり。お客様から「お任せしますから、ここに置いて帰ってください」と信頼関係を築けているかなと思います。作業においても丁寧ですし、気づいたことがあれば報告して提案もできます。女性ならではの強みかなと思っています。

Q:経営者として自信をつけたきっかけは何でしたか?
A:代表になった時はやる気もなかったし、現状維持でいいかなと思っていたんです。でも、やるからには一生懸命やろうと。私が代表になったのは34歳の時でしたので、「34歳の小娘に何ができるんだ」と絶対思われるだろうなという覚悟はしていましたが、お客様が「頑張ってね」と言ってくれたのがありがたくて。ちゃんと勉強しなきゃいけないなと思いました。

同級生が経営している「湯澤工業」さんに商工会の勉強会を紹介してもらって、南アルプス市商工会の「夢現塾」というところに参加しました。3年1期と少々長いスケジュールで、宿題がすごくいっぱい出て大変でしたが、それをやったことで自信がつきました。
1年目に「自社の強みは何だろう」と考えていた時、夢現塾を卒塾した同級生が「めぐちゃんの会社のクリーン洗浄がないと、その会社は作業できないってことでしょ。すごいじゃん」と言ってくれたんです。その一言で自分の仕事に自信が持てました。
「女性だけ」というのも引け目を感じていたのですが、講師の先生に「逆にそれが強みになるじゃない」と言ってもらって。女でいいんだ、女でもいいんだと、不安が取り除かれましたね。パッとしないと感じていたクリーニング業に誇りが持てるようになりました。

Q:働きやすい職場づくりで大切にしていることは?
A:女性がいなければ会社は成り立たないと思っています。私自身も子育てを経験してきまして、子供がいるとどうしても突発的に熱を出したりして休まなきゃいけないじゃないですか。そういった時に、休むことを後ろめたく思わずに、仕事をしながら子育てができる環境の会社を作りたかったんです。
「みんな同じ環境なんだから、遠慮なく相談してね」とずっと言い続けています。みんなが協力してくれます、同じ環境の子がいっぱいいるので。そうしてお子さんが保育園の頃から長くいてくれる従業員ばかりですし、子供が大きくなってからフルタイムや正社員になってくれる子もいて、すごくありがたいなと思っています。
今も産休中の子がいますが、「子供を連れて仕事していいですか?」と言うので「いいよ」とおんぶしながら仕事をしていたり。面接の時も「どんな風に働きたい?」と聞いて、その子がどういう形で働きたいかを一番に考えるようにしています。そうすると、子供の風邪などで1週間休まなきゃいけなくなっても、来てくれている時は本当に一生懸命、働いてくれます。これは相乗効果だなと思っています。

半導体市場の成長とともに、地域へ貢献

Q:クリーン洗浄における品質管理や技術的なこだわりについて教えてください。
A: クリーン洗浄は特殊なクリーニングで、一般環境でのクリーニングとは全く違うんです。お客様の作業環境と同じ環境でクリーニングしなければなりません。半導体の製造現場というのは、ほんの小さな塵やホコリも許されない環境ですから、私たちもそれと同等のクリーン環境を維持してクリーニングを行う必要があります。
半導体製造の現場では、作業着に付着した微細な汚れや異物が製品の品質に直結しますから、私たちのクリーニング品質がお客様の製品品質を支えているんですね。
品質管理では、女性従業員ならではの「気づき」の力を活かしています。畳む際の丁寧さはもちろん、少しでも異常があれば報告し、お客様に提案する。配送の際も、ただ納品するだけでなく、現場を見て気づいたことがあれば「これどうしますか?」と声をかける。そうした細やかな対応の積み重ねが、お客様から「お任せしますから」と言っていただける信頼関係につながっていると思います。

Q:今後の展望について教えてください。
A: 事業としては、クリーン洗浄と一般洗浄の比率が同じくらいになればいいなと思っています。半導体工場も日本にどんどん立っていますし、そのニーズに応えられるように狙っていきたいですね。半導体市場の見通しは大きく成長し続ける見込みですから、弊社の基盤であるクリーン洗浄は最も注力する部分です。
そして、社員が一番働きやすい職場づくりは、ずっと続けていきたいです。「お客様の第一想起になる」――クリーニングと言えば「プロシア」。そのためには、働いている従業員全員が長く働け、働きながら笑顔になれる職場作りを心がけています。
全従業員が幸せになれば、弊社の経営理念でもある「私たちは、『きめ細やかさ』を念頭に『プロシア』である事に誇りを持ち、誠心誠意努力します」を理解し、一歩先を見据えた仕事、サービスができる。お客様からの信頼が得られ、成長、発展へと繋がると信じています。

夢を持ち、行動すること

夢を持ってもらいたいなと思います。『なりたい自分』があれば、今何をしなきゃいけないかが見えてきて、毎日が充実すると思います。若い時は体力もありますし、何においても頑張れる。何がしたいかを早いうちに明確にできるとすごくいいのかなと思います。私は中3の時からずっとエステの仕事をやりたかったんです。自分の思い描いて口に出したことは、大変なことはあったけれど、叶えられているんですよね。もし今、夢がないなら、いろんなことをやってみて『これがやりたかったんだ』というものを見つけられたらいいと思うんです。めんどくさいと言わずに、いろんなことをやってみる中から見つけられると思うので。ぜひ見つけていただきたいなと思います。

Profile

清水 めぐみ Megumi Shimizu

株式会社プロシア

1978年山梨県生まれ。県立白根高等学校卒業後、エステティックサロンで技術者として勤務。2004年に祖父が創業した株式会社クリーン清水(現プロシア)に入社。2012年に代表取締役就任と同時に社名を「プロシア」に変更。2016年にクリーニング師免許を取得。「女性が生き生きと働ける職場」を信念に、ワークライフバランスを重視した経営を実践。クリーン洗浄・一般洗浄の両輪で地域の産業を支えている。

https://www.pro-cia.com/

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