社員が「いきいきと踊る」会社こそが、価値を創造する

Q:「人こそすべて」という経営理念を掲げていますが、この言葉に込められた思いを教えてください。
A:AIなどの技術がどれだけ進化しても、最終的に「価値」を創造するのは「人」だという確信があります。どのような商品もサービスも、それを作る人間のモチベーションが高くなければ、本当にお客様の役に立つ良いものは生まれません。私は、社員の幸福度や興奮度が高まり、「この会社で誰かの役に立ちたい」「新しいものを作りたい」という意欲に溢れた集団であってこそ、社会に価値を提供できると考えています。
そのために、会社として様々な取り組みを行っています。例えば、独自のサーベイで社員の幸福度を調査したり、学術的なアプローチを取り入れて腸内環境の改善に取り組んだりしています。食を扱う会社ですから、社員自身の健康も大切です。「姿勢教室」を開いたり、社員食堂のメニューを改善したりと、心身ともに健康でいられる環境づくりに力を入れています。
Q:社員の皆様のモチベーションについて、社長はどのような職場を目指されているのでしょうか?
A:私が目指しているのは、単に「楽な会社」「居心地が良いだけの会社」ではありません。それでは成長がありませんし、本当の意味での幸せには繋がらないと思うのです。
目指しているのは、社員一人ひとりが「いきいきと踊る」ような会社です。これは私が社長に就任した23年ほど前から掲げているイメージなのですが、困難な課題に対しても
「よし、やってやろうぜ!」と前向きにトライしていく。時には失敗して悔しがることもあれば、成功して仲間と喜び合うこともある。そういった躍動感のある会社でありたいと思っています。「大麦、雑穀と言った健康的な穀物」を通じて世の中を健康にするというミッションに対し、社員全員が情熱を持って取り組む。そんな「穀物オタク」たちが集まり、切磋琢磨しながら価値を生み出していく姿こそが、はくばくの理想とする姿です。

「地域と共に生きる」ヴァンフォーレ甲府との深い絆

A:御社はJリーグの「ヴァンフォーレ甲府」のスポンサーとしても有名ですが、これにはどのような経緯があったのでしょうか?
A:最初からサッカーを熱心に応援しようと計画していたわけではないんです。ヴァンフォーレ甲府の前身は、地元の高校の先生たちが作ったチームでした。それがJ2に上がることになったのですが、プロの世界は厳しく、経営危機に陥ってしまった時期がありました。チーム存続の危機、解散かという話まで出た時に、「山梨からプロチームの灯を消してはいけない」という思いで、支援させていただくことになったのが始まりです。当時は「まさかこんなに強くなるとは」というのが正直なところでしたが今では世界で活躍する選手を輩出するまでになりました。私自身もスタジアムに足を運びますが、サポーターの熱気や地域の一体感を感じると応援してきて本当に良かったと思います。地域に根ざした企業として、地元に勇気や元気を与える存在を守ることは使命の一つだと感じていますし今では社員も巻き込んで応援しており、それが社内の活性化にも一役買っていると感じています。

世界へ広がる「日本の麺」と、変化する食卓への挑戦

Q:国内だけでなく、世界市場へも積極的に進出されていますね。
A:実は弊社の海外事業の柱となっているのは「乾麺」です。特にオーガニックの乾麺に関しては、オーストラリアに工場を持っており、そこから世界へ輸出しています。これは2000年頃、私の父である先代が立ち上げた事業です。当初は日本国内でオーガニック麺を販売しようとしたのですが、なかなか市場が広がらず苦労しました。そこで「オーガニックの本場である欧米に持って行った方が売れるのではないか」と発想を転換し、海外展開を本格化させました。今では世界各国で販売されており、大きな柱に成長しています。
もちろん、主力の大麦や雑穀についても、日本の食文化として世界に広めていきたいと考えています。食文化の輸出には時間がかかりますが、健康志向は世界共通のトレンドですので、可能性は十分にあると確信しています。

Q:最後に、今後の展望をお願いします。
A:国内市場に目を向けると、ご家庭でお米を炊く機会は減少傾向にあります。しかし、それは「お米を食べない」ということではなく、コンビニのおにぎりや冷凍食品など、食べる形態が変わってきているということです。私たちはこうした変化を嘆くのではなく、家庭用以外の中食・外食産業へのアプローチや、冷凍食品への対応など、時代の変化に合わせた提案を強化していきます。

AI時代こそ輝く「人の想い」世界へ広げる穀物の新たな可能性

次世代の皆さんには、「人が価値を作る」という原点を忘れないでほしいと思います。人口が減るこれからの社会では、一人ひとりが生み出す価値の総量が問われます。AIなどのツールは最大限活用しつつも、最後は「誰かの役に立ちたい」「喜ばせたい」という人間ならではの想いが道を切り拓きます。はくばくも、世界中の食卓に穀物の新たな価値を届け、「いきいきと踊る」未来を共に創っていきたいと考えています。

Profile

長澤 重俊 Shigetoshi Nagasawa

株式会社はくばく

1941年創業の穀物メーカーの3代目として、祖父・父の想いを継承。 「人こそすべて」の理念のもと、社員の働きがいと健康を追求する経営を推進し大麦の黒条線をカットする技術で生まれた「白麦」をルーツに、近年は「もち麦」ブームを牽引。オーストラリアに製造拠点を持ち、オーガニック乾麺の世界展開も行う。また地元Jリーグクラブ「ヴァンフォーレ甲府」の熱心な支援者でもある。

https://www.hakubaku.co.jp/

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