常岡 太郎
株式会社ほったらかし温泉
荻野 充 Mitsuru Ogino
山梨県を拠点に、法面工事や災害復旧工事などの特殊足場を手がける荻野工業株式会社。
2011年の設立以来、単なる足場工事の枠を超えた挑戦を続けています。「品質と安全性にこだわる」ことを掲げながらも、代表取締役・荻野充さんが何より大切にしているのは「いい環境で働ける会社づくり」。崖に立つ50トンのクレーンを支える足場、山間部の法面を守る高度な技術――その仕事ぶりは、Instagramで「度肝を抜くような足場」として発信され、若い世代からも注目を集めています。
Q:荻野工業の創業背景について教えてください。
A(荻野さん):2011年10月に荻野工業を設立しました。その前は鳶の会社で働いていたんですけど、「もっといい環境の会社を作りたい」という思いがあった。自分が若い頃にお金に困っても前借り制度に上限があって、困った時があったのでこんな思いを働く仲間にさせたくないなと思ったのが一番のきっかけですね。
創業当初は普通の足場工事もやっていましたが、転機になったのは早川にある東京電力の発電所での仕事でした。重量物が載っかる足場を初めて触って、「腕がいいから他もやってみてくれないか」と言われ、そこからあちこちからオファーが来るようになったんです。
今は基本的に建設業で、土木の足場、特に法面の復旧工事とか災害工事が多いですね。山から物が落ちてこないようにネットを張るための足場とか。発注があれば場所を問わず全国どこでも行きます。三宅島も行きましたし、青森にも行きました。依頼があれば全国どこでも行きますって感じです。
Q:荻野社長ご自身の経緯を教えてください。
A:自分が経営者になるというイメージは全然無かったです。小学校の時の夢はトラックの運転手でした。中学校卒業してすぐに仕事してたので体を使って働いて稼げたらいいか、という感覚でした。
最初は2002年に土木会社に就職しましたが1年で退職して、その後2004年から鳶の会社で働き始めました。ここで約5年間、職人としての基礎を学びました。
実は最初、高いところも苦手だったし、本当はやりたくなかったんです。高所恐怖症でした。でも先輩に誘われて「じゃあ一緒にやろうか」という感じで始めたこの仕事も、気づいたら20年以上続けていました。
若い時は失敗もたくさんあり、分からないことだらけで怒られたりしながら成長してきました。でもそういう経験があったからこそ、今の会社では「困っている仲間を放っておけない」という思いが強いんです。
家族みたいに心配して、できることはやってあげたい。それが一番ですね。いい環境で、いい仕事ができて、目立って、誰かに与えられて人助けもできて。そういう会社にしたかったんです。
Q:コロナ禍での大きな転機について聞かせてください。
A:大きく変わったのはコロナ禍の時期です。ちょうど今の事務所に移ってきたのもその頃で、仕事も減った時期でした。でも逆にそれがチャンスになりました。
もともと足場はリースでやっていましたが、「新しい材料を自分のところで在庫をもってやりたい」と思って。そこから最新の材料を仕入れ、自社一貫でできる体制を作りました。
自分は「こうだな」と思ったらすぐやりたいし、決断が早いです。自分の勘だけで動いたって感じですが、ピンチがチャンスになったこの経験は非常に大きかったです。
Q:ヴァンフォーレ甲府のスポンサーなど、ユニークな取り組みについて教えてください。
A:目立って、「この会社かっこいいな」と思われたいからこそいろいろチャレンジしてるんです。BreakingDown選手やヴァンフォーレ甲府などのスポンサーとして、若い子が気になる会社になるように意識してますね。
山梨にゆかりのある、という部分を基準にしていて、名刺にJクラブのスポンサーと書いたりオリジナルブランドの帽子も作ったりしています。
Instagramなどで若者が見れるようにしてるので、「すごいな、やってみたいな」と思ってもらえるような内容を考えて日々発信しています。
Q:今後の展望について聞かせてください。
A:やっぱり「山梨で一番になったな」って言われたいです。みんなで一番いい景色を見たいですよ。そして最終的には日本で一番になるのが夢というか、最終目的地ですね。
事務所の移転など拡大していくために必要なことはたくさんありますが、慌てずに着実に一つ一つ段階を踏んで規模を拡大させていくことを考えています。
今はとにかく資材を増やすこと、資材ヤードの確保に注力しており山梨一の資材量、技術力をつけて、もっと業界を盛り上げていきたいです。
「これからAIが発達していくと思うんですけど、今からすごい時代が変わると思うんですよ。パソコンができるなんて誰でもできる、やれば。僕も何もできなかったけど独学で勉強してやってるんで。けど職人は一から覚えないとできない。だから今後は需要が高まると思うんですよね。自分に能力がないとこの仕事ってできない。体使って自分に能力つけて、『こういう職種に入ってよかったな』と達成感を味わってくれたら。若い人たちには、ぜひこの世界に飛び込んできてほしいですね」
荻野 充 Mitsuru Ogino
荻野工業株式会社
土木・鳶工事の現場で経験を積み、2011年に荻野工業を設立。山梨県甲斐市を拠点に関東近県で足場工事を手がける。仲間と現場を大切にし、人を育てることを信条に、山梨一、そして日本一を目指す会社づくりに挑戦している。
https://www.ogino-kogyo.com/